2016年8月21日日曜日

第2セクション アビスコーリッツェム その3

15日目。
日数的にも距離的にもおよそ半分なこの日。
地図を見ると国境と湖の中を縫うように歩くルートになっていてワクワクが止まりません。

暑い中、30分歩くと小屋に到着しました。犬を2匹連れてドイツから来ているという家族と軽く会話をし先を急ぎます。急登を上りきると川があってお約束の渡渉です。靴を脱がないで渡れるところを探して進んでいると後ろから長身の男が追いついてきました。彼は長い手足を使って岩の上をスイスイと渡り始めます。しかし、途中で立ち止まりました。そこは彼の膝上ぐらいの水深の場所です。彼も靴を脱ぎたくはないようでした。その上流に私の足の長さでも渡り切れるイントを発見していたので「こっちの方が楽に渡れるよ。」と身振り手振りで伝えます。彼はにこやかな顔でこちらに向かってきて、「サンキュー」と一言。その先はザブザブと水の中を歩いて行きました。
彼曰く
「私のはロングブーツでどこでも歩いていけるよ」
とのことで、足を見ると膝下まであるスーパーハイカットブーツでした。 ザブザブと川に入っていくのも当然です。水深が膝上まであったのは計算外のようでしたが。
 しばらく彼と前後してその後何度かあった渡渉のときは彼からアドバイスをもらったりしました。しかし歩幅の差は大きくて徐々に離され見えなくなりました。

この日は無風で湖は鏡のように風景を映し出していました。上下対象の不思議な世界。非現実的な世界に見とれてしまいます。地図で確認するとこの後は湖が密集してくる地域なのでさらに素敵な風景に出会えるのではないかという予感がしました。
  岩の上で昼食を済ませ湖に下るとトレイルはダムの上を通っていました。石を積んで堰き止めているようです。特に何の施設もなく使用目的はよく分かりませんでした。この柵も何もないダムの上を歩くというのは何だか不思議な気分です。何だかちょっと悪いことをしているような感じがしないでもなく。いや、特に問題のない場所で普通に通行可能なんですけどね。

ダムの先は未舗装の車道になっていて車が何台か停まっていました。ノルウェー人がデイキャンプを楽しんでいます。挨拶をすると「どこへ行くの?」ときかれ地図を見せて説明してもピンとこない様子。行き先がスウェーデンなのであまり知らないのかも知れません。話のついでにそこの網の上に余っているソーセージやそのクーラーボックスの中にあるであろうコーラをご馳走してもらえたらハッピーなハイキングになりそうですが、現実はそんなに甘くはなく。笑顔でお別れしました。その後に続く車道の上り坂がやけに足に堪えました。


ひと山超えた次の湖のほとりには目標の小屋(Skoaddejavre)がありました。そこにはもうかなり先を歩いているだろうと思っていたロングブーツ氏がいて小屋泊のノルウェー人と話をしていました。
「私たちはゆっくり歩いてきました。あなたは歩くのが速いですね。」
と奥さん。
「私は足が長いからね。ははは」
と、ロングブーツ氏。彼はいつも楽しそうです。
それから先週(アビスコに到着する前まで)はラップランド全域で天気は悪く、今週来週は良い天気が続くという話を聞きました。ここまで天気が良くて暑いのはそうあるわけではないようです。先週と今週の間ぐらいの天気がお望みなのですが、そうもいきませんかそうですか。

しばしの談笑の後、今日の寝床を探して30分ほど進み湖が見渡せる場所でこの日は終了になしました。

16日目
話の通りいい天気が続いています。
朝から大きな岩というか岩盤がむき出しになっているというかダイナミックな地形の上を歩きました。。
岩盤の上に無数の石がある不思議な光景が広がっています。 同じようでいて毎日違う風景の中を歩けて飽きることがありません。

しばらく軽いアップダウンを繰り返し最後に車道に向かって激坂を下りました。写真ではなだらかに見えますが、岩場の急斜面でなかなかすんなりとはいきません。岩と下りが苦手な奥さんは四苦八苦。
急斜面な上に岩も1つ1つが大きくて目印に沿って進むのにも苦労しました。
 やっとの思いで下りきるとそこにはキャンピングカーがあって子供達が遊んでいます。先ほどまでの緊張感はなんだったのか?というぐらいのどかな雰囲気でした。

そこからは10km以上の長い長い車道歩きです。昔の歌謡曲やドラマの話をしながらのんびり進みます。それでも道を探さず歩けるというのは楽なものであまり苦にならずに歩ききることができました。途中でオコジョっぽい動物に遭遇したりもして気分転換になったのも良かったのかもしれません。鳥とネズミとトナカイ以外は見ないもので刺激になりました。

車道の終わりの小屋から湖を回りこんで少し登ったところで奥さんが「蛍の光」を口ずさんだのでこの日は終了となりました。

17日目
見晴らしのいいところまで移動してから朝食を食べました。朝起きたてそのまま食事だと何かとダラダラしてしまうのでサッと撤収して少し動いて体を目覚めさせて眺めのいいところで食べた方が色々と気持ちが良いです。
これまでと違う行動をとりうまく気分も盛り上がって山を登ると、とんでもなく素晴らしい景色が待っていました。

「なんだこれは?」
山と湖がハーフパイプ状の空間を作り、それが数キロ先まで続いていっています。鏡のような水面にその不思議な空間が丸ごと反転コピーされていてさらに幻想的な風景を作り出していました。ここはとにかく最高の景色でした。ちょっとパリパリチョコアイスっぽいし。(空腹感)

さらに山を一つ回り込むとまた別の湖の気持ちの良い風景が現れました。
 今回は偶然にも進行方向と時間が一番素敵な組み合わせになったようです。坂を登って視界が開けるとそこに湖が広がるようになっていましたし、遅い時間だと風が出て湖面が揺れて綺麗に写りこまないようでした。
なんだか幸せです。風景を見て幸せになれるというのが登山やハイキングの魅力なんだなと実感できる1日でした。

そういえば、この日は人に会いませんでした。

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