2017年10月29日日曜日

クビックヨック〜東京

移動日。
平日なので朝5時のバスに乗らなければなりません。
朝食はチェックインのときに頼んであって、早朝出発用のサンドイッチセットが共同キッチンの冷蔵庫の中に入っていました。


ハイキング中にお世話になった、STFの小屋ともお別れです。
またいつかここに戻ってくる日がくるとよいのですが。


バスは時間どおりに出発。
通学バスなので集落ごとに止まっては子供たちを乗せて進みます。
朝靄に煙る湖畔の道をただひたすら南下していきました。

うたた寝をして気がつくとヨックモックのバスターミナルに到着。
甘党なものでこの町の名前にはちょっとテンションあがります。
記念に駅舎の写真を撮ってきました。



この先はヨックモックからボーデンという町までバスで移動してボーデンから寝台車に乗って翌朝ストックホルムに到着する予定です。
STFの小屋を含めwi-fiを使える場所が多いのでバスも寝台車もネットで予約して予定を組んでます。
ヨックモックのバスターミナルではカウンターでバスのチケット買えます。
もちろん、乗ってから支払もできますが、バス停に行っても行先も時刻表もなくてネットが使えないと運行状況もわかりません。

さて、次のバスまで6時間ほどあります。ゆっくりヨックモック観光です。
まずはサーミ博物館を見学。
サーミの人たちの文化や自然とのつきあい方に触れられて有意義な時間でした。

その後、スーパーで食べるものを買って公園で昼食にしました。
食事をしているとミツバチが寄ってきました。
ミツバチなのであまり気にしていなかったのですが、コーラの飲み口に止まっているのを見逃していてそのまま口へ。
くちびるに激痛が走ったのはいうまでもありません。
痛みは一瞬でしたが、腫れたくちびるに気持ちがダダ下がりです。
情けないったら。



夕方になりバスに乗って到着したボーデンは都会で駅舎もキレイ。
いよいよ戻ってきたんだなという気持ちになりました。


寝台車は6人のコンパートメントで座席を倒して横になるタイプで寝るかどうかは空気を読んでといった感じです。
トレイルでの早寝になれていた私たちはすぐにでも寝たい気分でしたが、なかなかそういうわけにもいかず。
しばらくは、よくわからないなりに雑談に加わったり、風景をみて過ごしたり。
そのうち、もう眠くてどうしようもなくなって、意識が遠のいていったり。
何度かウトウトしていたら察してもらえたようで、無事に横になることができました。

一夜明けて。
ストックホルムに到着してすぐに飛行機の予約の変更を姉に頼んで代理店とやり取りしてもらうと4日後まで満席で不可だということでした。
駅のwi-fiを使いながらいろいろと相談した結果、ヘルシンキに戻ることになりました。
まさか戻ることになろうとは。

フェリーを使って一ストックホルムからヘルシンキへ移動です。
夕方の便を使ってフェリー1泊だと一番安い部屋はストックホルムで1泊するより安い料金です。
基本免税品ばかりということもあり、比較的安く買い物ができたりもして楽しい船旅だったのでいい体験になりました。

その後、5日間ヘルシンキの姉の家に滞在し観光をしました。
アラビア、イッタラのアウトレットで買い物したり、パン屋めぐりをしたり、ヌークシオ国立公園でハイキングとベリー狩りを楽しみました。


姉の提案で海を渡ってエストニアの首都タリンへ遊びに行ったりして予定外に海外旅行らしい日々を過ごしました。

そして、またフェリーでストックホルムに戻り、買い物と観光をしてから空港に向かいほぼ一夜をベンチで過ごし早朝の飛行機に乗りました。
飛行機が動きだしたあたりで寝落ちして目が覚めると、空港にいました。ストックホルムの。

はて?


どうやら離陸直前でエンジントラブルがあり飛び立たてなかったようでした。
最終的に別の飛行機に乗り換えることになっていつまでたっても帰れません。
フランクフルトでのトランジット時間は1時間半しかありません。
そう、です。帰りも間に合いませんでした。

二度目なので落ち着いたものです。
フランクフルトの空港では基本ルフトハンザが仕切りのようだったのでカウンターに行ってチケットを見せると、今日のチケットさないので食事と部屋を用意するから15分まってと言われラッキーとばかりに笑顔で承諾。
でも、同じ経由便は二日に1便しかないのを知っていたのでどうなるのだろうと楽しみにしていました。
まだ、ユーロ圏から出国していないので2泊ともなればフランクフルト観光もありえます。
時間だけはあるのでいつ帰国でも問題ないのです。

少し時間をおいてからカウンターへ戻ると、そういえば羽田じゃダメなの?的な話になり最終的には夕方出発の羽田直行便に乗ることになりました。しかも、お昼代20ユーロのバウチャーつき。


格安チケットの2回乗り換えからフルトハンザの直行便とは出世したものです。
空港内のレストランでフランクフルトとビールを食べてリッチな気分を味ってから帰国の途についたのでした。


最後までバタバタでしたが、こうして北極圏でのハイキング旅行は終わりました。

2017年10月22日日曜日

第3セクション リッツェムークビックヨック その3

28日目
雲が多いけど寒くないのが救い。
食料を調達するため少し早めの出発。9km先のトゥオッタル小屋を目指します。。
迷うような道もなくて歩きやすいので特にペースを上げなくても一時期の1時間2kmより進むようになっていて、3時間ほどで小屋に到着しました。

12時前だったので小屋番の人もいて、インスタントラーメン食料を調達することができました。
パンも魚もあるけどどうかと聞かれましたが、残念ながらお値段高めだったので断りました。

 外のベンチでコーヒーを飲んでいると、小屋番の女性がチョコレートのお菓子を持ってきてくれました。前日に引き続き人の好意が身にしみます。
少し話をしていると、下の池で大きなトラウトを釣ったという話になったので、日本式のフライ道具を持ってきていると話をしました。
ぜひ、見てみたいということで竿を出して実演。
しかし、流れの中で使うというのをうまく説明できなくて、湖でちょこっと振って、微妙な空気になって終了しました。
今思えば幾つか知っている英単語で説明できたのに。

そんな感じで仲良くなって、やっぱり魚を食べたいなと買うことにしました。
小屋の中へ招待されて入っていくと中では竿を修理中でした。
彼はスウェーデン人のステファン。女性はオランダ人のヒルダ。
ヒルダは英語が得意でないらしいけど、それはこちらも同じでちょうどいい感じです。

やたらと盛り上がって記念撮影。
トナカイの角をフック用に加工したものをプレゼントしてもらいました。

それから、ゴールのクビックヨックの情報を教えてもらいました。
トレイルの最後は湿地になっていてボートで渡してもらいます。
スケジュールは1日1回13時。
クビックヨックからバスターミナルのあるヨックモックまでのバスは1日1便、平日は5時、土日は14時とのことでした。

そんな話をしている間にも部屋の中はパンの匂いに包まれていました。
結局、パンも購入。一部をその場で食べたいというとバターも出してもらえました。
とても素敵な小屋でした。

お昼は、トラウト。久しぶりに生のタンパク質。大きくて買ってよかった。

一番美味しいのが塩茹でということだったので、輪切りにして茹でます。

余熱でパンを温め中。
美味しくいただきました。
トレイルは南下していきます。
標高も下がっていることもあって、気温は高くなっています。

次の小屋では休憩時間でした。
ここでは小屋前にパンとビールが置いてあって、支払いはポストへとなっていました。
気が効いてます。
他の小屋もこうなってたらいいのに。


この日の夕食は焼いてみました。
焦げないように水を少し足しながら茹で焼きみたいな感じ。
茹でるより美味しかったかも。
こういうときにいろいろな調理に対応できるストームクッカーでよかったなと思います。

29日目
夜は雨が降っていました。風もあり寒い日です。
森の中を進んでいきます。
途中、川で水を汲んでコーヒーを飲んでいると、キャンプに来ていたファミリーのお父さんが話を聞きに来ました。
もう直ぐゴールだと話すとおめでとうと言ってくれました。
ファミリーは6日かけて歩いて戻るのだそうで。
やはりここでも距離より滞在時間が大切にされています。
サマラッパ小屋に到着。STFの小屋で食料の在庫も豊富でした。
しかし、この週末(この日は土曜日)で全ての小屋が閉まるとのことで、倉庫にしまわれていました。ギリギリ間に合ったようです。(9月第1週の週末)
この情報も把握していなくて運がよかったです。
予備日まで使う状況だったら厳しいとこになることろでした。

最後の補給で食料とビールを購入。
もうすっかり森の中。完全に山の中から降りてきました。
小屋から30分ほど歩いた川原にテントを張りました。
森の中だとテントを張れる場所も限られていて判断が難しくなってきます。

30日目
前日から一転していい天気。
谷の中だったのでなかなか日が当たらず寒くはありましたが、爽やかな朝を迎えました。
森の中でまた違う表情を見せてくれるラップランド。
終わりに近づくにつれて、このひと月の風景の変化を思い出すようになりました。 ここ数日は柔らかい温かみのある風景の中を歩いています。

北欧でメジャーなリンゴンベリー。
リンゴンベリーのジャムはスーパーで人気です。

秋の実りがたくさん見られました。
この谷の先がゴールです。
森に入ってから特筆すべき出来事はありませんでした。
旅を味わう時間を用意してもらったようです。
一歩一歩味わいながら歩いていきます。

最後の夜は川原の砂地の上。

この寝袋で寝るのも最後になりました。
湿気に強く、最後までフカフカでした。
マットも暖かく快適でした。
ロングハイクでは快適に寝る事が重要です。
TRAILSのBUDDY BAGとEXPEDのダウンマットにしてよかったと思います。

31日目
緑から暖色に色が移っていってトレイルはすっかり秋になりました。
肌寒い中を歩いていきます。

そしてついに船着場に到着しました。
ゴールなんですが、トレイルの途中にあるのでゴール感薄めです。
船の迎えが来るまでまだ時間があったので近くの避難小屋でお昼を食べながら待ちます。
すると、どこから現れるのか次々を人が集まってきます。
最終的には16人になりました。

迎えに来た船は、まさにボート。リッツェムの時のような船を想像していたので驚きました。これに全員乗れるのかと心配になりました。

いや、それが本当に乗れるのだから驚きです。

このボートはただの渡し舟ではなく、この川の観光船でもあり、船長の説明を聞きながら寄り道をしてから戻っていきます。

そして、町に到着。最後に代金を支払って解散です。
北欧ロングハイキングはあっさり終わりました。
あっけないくらい。
でも、最後の数日は静かに噛みしめるように歩いたので最後はこのくらいで良いのかもしれません。

クビックヨックでもSTFの宿に泊まります。
久しぶりにシャワーを浴びてサッパリです。
ひとまずお疲れさまでした。


第3セクション リッツェムークビックヨック その2

26日目
朝起きると霜が降りていました。

9月になってすぐにこんなに気温が下がるなんてさすがラップランド。
ボートのおじさんの言っていた通りです。


草も凍りついています。
テントの霜をタオルで拭くことの辛いことったら。
防水のグローブをして作業すべきでした。

日陰の歩道は凍っていて、滑りやすくて危険でした。
しかし、文句のないほど快晴で空気はすぐに緩んでいきました。

2kmほど歩いてラデヤッカ小屋に到着。
外のベンチでココアでもと思って用意していたら、小屋の中からお招きをいただく。
挨拶を交わすと、優しい小屋番のおじいさんの息子さんは日本にいたことがあるらしく、日本はいいところらしいねと言ってくれました。
遠い東アジアの国に興味を持っている人が少なからずいるのが嬉しいです。

このあたりの小屋はサーミの人たちが経営する小屋が多くてSTFの小屋とは少し違う経営形態でした。 その違いを実感するのはこの後のことですが。


ハイカーたちは朝食の真っ最中。 コンロではベーコンが焼かれ美味しそうな匂いが漂います。 そんな中、ビニールメシを食べていたのが笑顔が素敵な彼。
北極圏トレイルでは数少ないULハイカーです。
 ドイツ人らしくザックはラーフバーシュでした。
ゴッサマーギアのザックの話をしたりして久しぶりにULギアトークをしました。

ULハイカーらしく、歩くのが早い彼。小屋を出てすぐに抜いていきました。
それから少し進んでから道を間違えたことに気がつきました。
戻って正解の道を見つけましたが、さっきの彼も間違った方向に進んでいます。
彼のことが心配になって荷物を置いて追いかけました。
しかし、追いつくことはできず。どんどん心配になっていきます。
そこに、反対方向から犬を連れてきた人が歩いてきたので彼のことを聞くと
道を教えたから大丈夫だよとのこと。
ホッと胸をなでおろし自分たちのハイキングに戻りました。

ハイキングをしていると余計なお節介で走ったりして、勝手に心配して勝手に疲れてるみたいなとが多いです。自己責任と割り切るのもなかなか難しいものです。

小屋からの坂を登りきると広い台地状の場所に着きました。
広い平原の真ん中にポツリをラクダのような岩があったので記念撮影。

そういえば、初日の三国国境以来、記念撮影してなかったと気がついて見晴らしのいいところで記念撮影。
なぜこんなポーズをしたのか自分でも不明です・・・

大きな湖を回り込むように道は続いていきました。
少しずつ南に向かっているので、緑が多くなってきています。
アビスコ-リッツェム間ではもっと露岩が多かったのに、この辺りでは山もなだらかで優しい様相です。

そろそろ、この日も終わりにしようかというところでアウスヤーレ小屋に到着。
ビールだ。ビールを飲もうと思っていたら

小屋は閉まっていました。
掲示板の右下。
パンもトナカイの肉もビールも魚も売っていると書いてあるのに・・・
お出かけ中・・・ですかね?
と、ウロウロしていると、誰かが走ってくる。
80年代のアメリカのフィットネス通販に出てきるような女性がジョギングしている。
話しかけてみると近くの集落の人。
飲み物が欲しいというと川の水が飲めるわよと言われてがっくり。
それはそうですけどね・・・

がっくりしつつ、1時間ほど歩いて見晴らしのいいところでテントを張りました。

夕食はアウスヤーレ小屋以降、定番になっているクノールのパスタ。
二人で一袋でちょうどいい量です。美味しいし。
しかし、手持ちの食料が少なくなってきているのでそろそろ買い足したいところです。

27日目
深夜にオーロラが見えました。
もやもやとした白いオーロラ。慌ててカメラを持ち出すも、設定を変更しているうちに寒さでバッテリーが落ちて取れず・・・
残念ですが記憶の中にだけしっかり刻んでおくことにしました。
冬でないと見ることは難しいと思っていたので嬉しかったです。

またひと眠りして、朝になってこの日もいい天気。
今日は食料を手に入れるぞとやる気満々で歩いていきます。

お昼を食べているとストックを手にしたご婦人歩いて通り過ぎていきます。
荷物もないのでウォーキング中のようです。(ノルディックウォーキング?)
前日のように近くの集落の人でしょうか。

それからしばらく湖沿いに進んでいくと、モコモコとした小山がいくつか見えます。
どうやら貯蔵庫のようです。

他にも十字架が乗っている小山もあって、そこは教会のようです。
昔ながらのサーミの人たちの小屋が残っている場所でした。

それからすぐに小屋に到着しました。
しかし、やはり閉まっています。
受付をよく見ると12時から16時はお休みということらしいです。
どうも、このあたりの小屋は宿泊者が出入りする時間帯以外は休憩をとるようです。

 現在の時間は12時半。
そういえば、手前に分岐があって、売店と書いてありました。
戻って売店と思しき小屋を覗いてみるも、同じ時間で休憩中。
がっかりして、小屋に戻りかけた その時、先ほどのご婦人が帰ってきました。
小屋に向かっています。

慌てて追いかけて声をかけると、宿泊者でした。
小屋番は時間にならないと帰ってこないとのこと。
パートナーの男性も出てきてどうしたんだという話になりました。
食料なくて買いたいので待ちますと話をすると、奥から食料を出してきてくれてこれを持って行きなさいと。
いやいや受け取れないというと、これはあなたたちへのギフトだから受け取りなさい。と。
こんないい天気の日に歩かないなんてよくない。
私たちは明日帰るから食料は余っているのだ大丈夫だから。
お返しは日本に行ったときでいいから。と。

ありがたくいただくことにしました。
自分たちもこんな人になりたいと思いました。

メールアドレスを交換して写真を送ると記念に1枚。

私たち夫婦は他のハイカーと積極的にコミュニケーションをとる方ではないのですが、
特に意識をしなくても、優しい小屋番の人たちだったり、ハイカーだったり同じ場所にいる人たちと自然に話をすることができました。
拙い英語で短い会話ばかりですが、程よい距離感で一体感も味わえた気がしています。

北欧の優しい人たちに感謝をしつつ、その後ものんびり歩いていきます。
道はより南に向かってカーブを描いていき、少しずつ緑の深さを増していきました。
風も爽やかで蚊も少し減ってきたような気がします。

そろそろ旅の終わりが見えてきました。