2017年10月22日日曜日

第3セクション リッツェムークビックヨック その2

26日目
朝起きると霜が降りていました。

9月になってすぐにこんなに気温が下がるなんてさすがラップランド。
ボートのおじさんの言っていた通りです。


草も凍りついています。
テントの霜をタオルで拭くことの辛いことったら。
防水のグローブをして作業すべきでした。

日陰の歩道は凍っていて、滑りやすくて危険でした。
しかし、文句のないほど快晴で空気はすぐに緩んでいきました。

2kmほど歩いてラデヤッカ小屋に到着。
外のベンチでココアでもと思って用意していたら、小屋の中からお招きをいただく。
挨拶を交わすと、優しい小屋番のおじいさんの息子さんは日本にいたことがあるらしく、日本はいいところらしいねと言ってくれました。
遠い東アジアの国に興味を持っている人が少なからずいるのが嬉しいです。

このあたりの小屋はサーミの人たちが経営する小屋が多くてSTFの小屋とは少し違う経営形態でした。 その違いを実感するのはこの後のことですが。


ハイカーたちは朝食の真っ最中。 コンロではベーコンが焼かれ美味しそうな匂いが漂います。 そんな中、ビニールメシを食べていたのが笑顔が素敵な彼。
北極圏トレイルでは数少ないULハイカーです。
 ドイツ人らしくザックはラーフバーシュでした。
ゴッサマーギアのザックの話をしたりして久しぶりにULギアトークをしました。

ULハイカーらしく、歩くのが早い彼。小屋を出てすぐに抜いていきました。
それから少し進んでから道を間違えたことに気がつきました。
戻って正解の道を見つけましたが、さっきの彼も間違った方向に進んでいます。
彼のことが心配になって荷物を置いて追いかけました。
しかし、追いつくことはできず。どんどん心配になっていきます。
そこに、反対方向から犬を連れてきた人が歩いてきたので彼のことを聞くと
道を教えたから大丈夫だよとのこと。
ホッと胸をなでおろし自分たちのハイキングに戻りました。

ハイキングをしていると余計なお節介で走ったりして、勝手に心配して勝手に疲れてるみたいなとが多いです。自己責任と割り切るのもなかなか難しいものです。

小屋からの坂を登りきると広い台地状の場所に着きました。
広い平原の真ん中にポツリをラクダのような岩があったので記念撮影。

そういえば、初日の三国国境以来、記念撮影してなかったと気がついて見晴らしのいいところで記念撮影。
なぜこんなポーズをしたのか自分でも不明です・・・

大きな湖を回り込むように道は続いていきました。
少しずつ南に向かっているので、緑が多くなってきています。
アビスコ-リッツェム間ではもっと露岩が多かったのに、この辺りでは山もなだらかで優しい様相です。

そろそろ、この日も終わりにしようかというところでアウスヤーレ小屋に到着。
ビールだ。ビールを飲もうと思っていたら

小屋は閉まっていました。
掲示板の右下。
パンもトナカイの肉もビールも魚も売っていると書いてあるのに・・・
お出かけ中・・・ですかね?
と、ウロウロしていると、誰かが走ってくる。
80年代のアメリカのフィットネス通販に出てきるような女性がジョギングしている。
話しかけてみると近くの集落の人。
飲み物が欲しいというと川の水が飲めるわよと言われてがっくり。
それはそうですけどね・・・

がっくりしつつ、1時間ほど歩いて見晴らしのいいところでテントを張りました。

夕食はアウスヤーレ小屋以降、定番になっているクノールのパスタ。
二人で一袋でちょうどいい量です。美味しいし。
しかし、手持ちの食料が少なくなってきているのでそろそろ買い足したいところです。

27日目
深夜にオーロラが見えました。
もやもやとした白いオーロラ。慌ててカメラを持ち出すも、設定を変更しているうちに寒さでバッテリーが落ちて取れず・・・
残念ですが記憶の中にだけしっかり刻んでおくことにしました。
冬でないと見ることは難しいと思っていたので嬉しかったです。

またひと眠りして、朝になってこの日もいい天気。
今日は食料を手に入れるぞとやる気満々で歩いていきます。

お昼を食べているとストックを手にしたご婦人歩いて通り過ぎていきます。
荷物もないのでウォーキング中のようです。(ノルディックウォーキング?)
前日のように近くの集落の人でしょうか。

それからしばらく湖沿いに進んでいくと、モコモコとした小山がいくつか見えます。
どうやら貯蔵庫のようです。

他にも十字架が乗っている小山もあって、そこは教会のようです。
昔ながらのサーミの人たちの小屋が残っている場所でした。

それからすぐに小屋に到着しました。
しかし、やはり閉まっています。
受付をよく見ると12時から16時はお休みということらしいです。
どうも、このあたりの小屋は宿泊者が出入りする時間帯以外は休憩をとるようです。

 現在の時間は12時半。
そういえば、手前に分岐があって、売店と書いてありました。
戻って売店と思しき小屋を覗いてみるも、同じ時間で休憩中。
がっかりして、小屋に戻りかけた その時、先ほどのご婦人が帰ってきました。
小屋に向かっています。

慌てて追いかけて声をかけると、宿泊者でした。
小屋番は時間にならないと帰ってこないとのこと。
パートナーの男性も出てきてどうしたんだという話になりました。
食料なくて買いたいので待ちますと話をすると、奥から食料を出してきてくれてこれを持って行きなさいと。
いやいや受け取れないというと、これはあなたたちへのギフトだから受け取りなさい。と。
こんないい天気の日に歩かないなんてよくない。
私たちは明日帰るから食料は余っているのだ大丈夫だから。
お返しは日本に行ったときでいいから。と。

ありがたくいただくことにしました。
自分たちもこんな人になりたいと思いました。

メールアドレスを交換して写真を送ると記念に1枚。

私たち夫婦は他のハイカーと積極的にコミュニケーションをとる方ではないのですが、
特に意識をしなくても、優しい小屋番の人たちだったり、ハイカーだったり同じ場所にいる人たちと自然に話をすることができました。
拙い英語で短い会話ばかりですが、程よい距離感で一体感も味わえた気がしています。

北欧の優しい人たちに感謝をしつつ、その後ものんびり歩いていきます。
道はより南に向かってカーブを描いていき、少しずつ緑の深さを増していきました。
風も爽やかで蚊も少し減ってきたような気がします。

そろそろ旅の終わりが見えてきました。

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